踵が台から少しはみ出すのがちょうど良いサイズ
正しい履き方や歩き方も靴やサンダルとは違います。靴のようなフィットという発想とはまったく異なることをご理解ください。
日本の伝統的履物では鼻緒の真ん中にある前坪を親指と人差し指の股の奥まで入れず 少し隙間ができる状態で、かるく指に引っ掛けるように履きます。 踵(かかと)が台から2~3センチ出るのがちょうどよいサイズです。
このサイズの下駄で歩いていると踵が痛くなるという人は、踵に重心が乗っている証拠で、それではうまく歩けませんし、着物で歩いているとどんどん着崩れていくでしょう。
蹴りやバネを使わず、体幹を運ぶように前進する
歩くときは、靴のように踵(かかと)から着地せず、土踏まずの前の母指球あたり(高所からピョンと飛び降りたときに着地するところ)で着地します。
靴の場合、大きく振った腕と逆の足を前に出し、踵を支点に体をねじりバネのように体の中心を前進させますが、日本の歩き方では足というより腰から前に出す感覚で、「体幹」も同時に運んだ先に自然に着地します。
そして着地した足にしっかりと体重を乗せると同時に後ろの足からは体重を抜き、そのまま腰から前に出す動きの繰り返し。蹴りやバネではなく、重心移動を続け「体幹」を運ぶように前進します。手は振り回さず、体の動きに自然についていればいいだけですが、慣れないうちはポケットに手を入れたり腰に手をつけておくといいかもしれません。
日本の芸能や武道の「摺り足」とも共通する動きで、体への負担が小さい動きと言われています。
この歩き方ができると、両足の膝はそれほど大きく離れないので着物が着崩れません。また、歯のある下駄で上手にこの歩き方ができたときに「カラン、コロン」と小気味のいい音が鳴るのです。